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「ペリー提督日本遠征記」第二巻 1856 - 1858 (1) 日本の鳥類

“Narrative of the expedition of an American squadron to the China seas and Japan”  vol. 2  (1)

 ペリー提督(マシュー・カルブレイス,Matthew Calbraith Perry, 1794 – 1858)は米国艦隊(黒船)を率い,嘉永6年6月3日(1853年7月8日)に浦賀沖に現れ,その翌年,嘉永7年1月(1854年)再び浦賀に来航し3月3日(3月31日),約500名の兵員を以って武蔵国神奈川近くの横浜村(現神奈川県横浜市)に上陸し,そこで全12箇条に及ぶ日米和親条約(神奈川条約)が締結されて,3代将軍徳川家光以来200年以上続いてきた鎖国が解かれた.
 ペリーの日本遠征艦隊は,単なる日本開国のための外交使節団ではなく,学術調査団の性格も兼ね備えていた.半世紀前の1799年,ナポレオンがエジプト遠征の際に総勢175人の調査団を伴い,ロゼッタ石(Rosetta stone)を発見するなど大きな成果を挙げ,美しい銅版画を多数収載した『エジプト誌(Description de l'E'gypte, 1809-22)』を刊行したという故事を意識したものと思われる.ペリーは,当初各専門の研究者からなる調査団の同行を考えていたが,政府に却下され,部下士官と遠征隊に参加を許された民間人の医師・牧師等で科学的調査の心得のある者を活用した.

 ペリーの日本遠征に関する報告書 “Narrative of the expedition of an American squadron to the China seas and Japan” は,彼の帰国後の1856年から1858年にかけて合衆国議会版として40万ドルが投じられ,大判(フォリオ)3巻本で計約1700ページの大冊として34000部も出版され,うち1000部はペリーの手に渡された.この「遠征記」の資料としては,当時欧米で出版されていた日本に関する多数の文献をはじめとして,ペリー自身の日記・公式書簡に加えて,部下士官,随行員の日記・調査報告書,従軍画家ハイネ(W. Heine)の挿絵,写真家ブラウン(E. Brown)の銀板写真,その他の地図・海図等が用いられた.そしてペリー自身の厳重な検閲を受けて,牧師ホークス(F. Hawks)により編集された.
 第 1 巻は,いわゆる本記で,航海,条約交渉,各地の人文社会,風物等の詳細な記録である.第 2 巻は,日本,琉球はじめ各寄港地の博物学的記録,地図・海図等に関する報告であり,第 3 巻は,黄道帯に関する天体観測の記録である.従って「遠征記」は,単なる日本開国交渉の記録にとどまらず,当時の日本に関する社会科学的・自然科学的な記録であり,また各寄港地での観察を記した航海記ともいえよう.

 自然科学の記事が主体の第 2 巻には哺乳類,鳥類,魚類,貝類の図譜が含まれ,特に鳥類,魚類及び貝類のそれには彩色がされていているものもある.植物に関しては残念ながら,艦隊に同乗した研究者ジェイムス・モロー博士とペリーとの確執のため,腊葉のリストのみで図譜は全く記載されていない.しかし,もたらされた標本や生きた植物を研究したハーバード大学植物学者エイサ・グレイ博士(Asa Gray 1810 – 1888)は 1859 年に世界で初めて,日本を中心とするアジアの極東地方の植物分布についての論文を発表し,日本と米国は太平洋で隔てられているにもかかわらず,非常によく似た植物相が見られること(「隔離分布」)を明らかにした.なお,昭和天皇は 1975 年 10 月に訪米した際,そのうちの一部を閲覧し,当時執筆していた植物誌「伊豆須崎の植物」(1980 年)にその成果をまとめられた.

BIRDS by John Cassin, Memeber of the Academy of Natural Science, Philaderphia
A: Birds collected in Japan には以下の3枚の多色石版手彩色図譜が収載されている.

Perry's expediton  024M
Perry's expediton  027M
Perry's expediton  026M

Plate 1: Phasianus versicolor  キジ (下田)
Plate 2: Phasianus scemmerincii  ヤマドリ (下田)
Plate 3 :Numenius tahiticus  ハリモモチュウシャク (北海道)
なお,学名は原図記載のまま.現在のそれとは異なる場合もある.
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