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海を渡った日本の花 (37) キキョウ

Platycondon grandiflorum  
 
Kaempfer Kikko東アジアに広く分布する多年草.日本のキキョウを最初に欧州に紹介したのはエンゲルベルト・ケンペル (Engelbert Kaempfer 1651 – 1716).彼は『廻国奇観』(Amoenitates Exoticae, 1712)に Kekko (桔梗の音読み) Kikjo & Kirakoo として,根がチョウセンニンジンに似て花が釣鐘型などと記述し,白色種や八重種があることを記載している(左図).

キキョウの学名 Platycondon grandiflorum はスイスの植物学者,Alphonse Louis Pierre Pyramus de Candolle (1806 – 1893) が 1830 年の Campanulanceae (キキョウ科)のモノグラフで命名した.この植物はそれ以前,1776 年にベニスの植物学者 N. J. von Jacquin (1727 – 1817) の出版物に Campanula (ホタルブクロ属)の種として記載された(Litt. Hort. V.3. t.2).また,Heinrich Adolph Schrander (1767 – 1836) はこの植物を Wahlenbergia (ヒナギキョウ属)に属する種として記載した.

英国には 1844 年にロバート・フォーチュン (Robert Fortune 1812 – 1880) が中国から Chiswick の園芸協会に根茎を送ったことによって導入された.しかし,ジェラード(John Gerard aka John Gerarde, 1545 – 1611 or 1612)が 1599 年に作成した自分の庭にある植物のリストに「青い中国のベルフラワー」と記載したのがキキョウだとすると,かなり前に中国から入ったことになるが,これは観賞用花卉としての価値が認められたからではなく,その根が,誤ってか意図的にか,高価なチョウセンニンジンとして用いられていたからであろう.

キキョウの原種は野放図に伸び広がる性質があったので,今西欧の庭で栽培されている種はグランディフロールム・マリエシイ種 (P.grandiflorum mariesii) で,英国の種苗園ヴィーチ商会が送り出したプラントハンターのチャールズ・マリーズ (Charles Maries 1850-1902) が日本の蝦夷島〔北海道〕で発見した,丈が低く小形のキキョウである.「それはじつに美しい植物で,シャーリー・ヒッバードから「耐寒性の植物の愛好家は、この植物の栽培をすみずみに至るまで修得するまでは手足を休める暇もない」というほどの賛辞を受けたがそれに十分値するものである。ファーラーは、自生地ではこの花が大量に咲いているので「ある日本の沼地では秋の特別な見もので、イギリス人にとってのバラやスミレと同じように昔の伝説や詩によく現われる」と言っている。『花の西洋史』草花篇 A. M. コーツ著,白幡ら訳 八坂書房(1989)」 

Curtis 1805 Wendel 1876 C. antumnale

Curtis "Botanical Magazine" Campanula Grandiflora (1805)  銅版手彩色
Wendel "Nederlandsche Flora en Pomona"  C. antumnale (1876)  多色石版

Hakone Blue 大場秀章元東大教授は,「草木花ないまぜ帳 キキョウ」で,「二重咲きになったフタエキキョウ、白花のシロバナギキョウなどが有名だ。また、切花用の早生の「さみだれ」などのいくつかの園芸品種がある。しかし、知名度も高く花も見栄えがする割りにキキョウに園芸品種が少ないのはなぜだろう。その大きな原因はキキョウに類似する野生種がないことがある。これがキキョウの園芸的な発展を妨げたといえる。」と言っているが,西欧では多くの園芸種が生み出されていて,ある園芸誌によると右図の “Hakone Blue” 他 53 種を数える.

また,江戸時代には貝原益軒の『花譜』(1694年)に「紫白二色あり.(中略)八重もあり」と記され,また,伊藤伊兵衛の『花壇地錦抄』(1695年)には絞り咲きや各種の八重咲き,「扇子桔梗(あふききけう)」と名づけられた帯化茎(たいかけい)のものなど8種があげられている.

本草通串証図 また,越中富山藩第10代藩主 前田利保の命で編纂され,1853年(嘉永6年)に序文が書かれた植物図譜『本草通串証図(ほんぞうつうかんしょうず)巻二』には,現在は見ることのできない緑色の八重咲きや濃い黄色,花弁が基部深くまで切れ込んでそれぞれが外側に丸まってウサギの耳のような形になる「兎耳桔梗」,花弁が平皿のような形になる「紋桔梗」などのほか,現在も見られる桃色やウズキキョウ,早咲きのものなど14種が美しい多色木版で収録されている.残念ながら,これらの多様なキキョウの園芸品種は,その多くが明治の中ごろまでに絶えてしまった.
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